変わった園児の話し

保育士の人手不足について考えた

数年前の話であるが、保育園の待機児童について社会問題化された事は記憶に新しいところではないだろうか。

これは本来であれば保育園に入園できる権利を持つ児童が諸々の理由によりそれが叶わない状態である事。都市部を中心にそのような境遇の子どもたちが多数いるというニュースであった。

その後、コロナ禍という事もあり入園を差し控える親御さんが多く居られたという事もあり、待機児童の問題はひとまずは落ち着いた様であるが、コロナも5類に移行した事により、この問題が再び浮上することはおおいに懸念されるところであろう。

さて待機児童の原因のひとつとして報じられている事として保育士の人手不足という問題が挙げられている。

保育士といえば小学生の将来なりたい職業で女子児童のなかではいつも上位に挙げられている印象がある仕事であるのにも関わらず、なぜにしてこのような問題が発生してしまうのであろうか?

私事の話にはなるが、20代前半の頃に介護の仕事に興味を持った事がある。興味を持った理由は人と関わる仕事をしてみたいという思いがあったのだか、職務内容を調べれば調べるほど人と関わるという気持ちだけでは務まらないという思いが強くなり、踏みとどまったという経験がある。

人と関わるという意味では保育士という職業も共通するところがある。子どもが好きで子どもに関わる仕事がしたいという思いを抱く方は大勢居られることとは思われるが、それでも人手不足になるのはなぜであるかという疑問。私が介護の仕事を踏みとどまった理由を元にそれを考えてみる事にした。

[否定できない待遇の厳しさ]

保育士は給与が低いという印象がある。そう思いながらも客観的に調べてみると、他の職種と比較して決して低いわけではないという事が見えてくる。

では何が原因で給与が低いイメージに結びつくのかというと、仕事の質量の割りにはそれに見合った給与が得られていないというところに尽きるのではないだろうか。

これは学校の教師にも当てはまる話になるが、子どもの世話に費やす時間以外の事務的な雑用などが頻繁にあり、家庭を支えている主婦も多い保育士という仕事はハードワークであると言わざる得ないのではなかろうか。

ピンポイントでも、事務的な仕事をこなせる人材を投入していくという事は検討していく必要があるだろう。だが人材を投入するためには財源が必要である。財源を健全に廻していくためには政府の力が必要だ。保育に力を入れるという事は、現在問題となっている少子化対策の重要な項目のひとつだ。補助金の投入に力を入れれば、保育士の負担減につながり、尚且つ保育士の給与を上げるという事にも繋がる。保育士の働く環境を整えていけばおのずと人手不足は解消に向かうであろうし、人手不足が解消すれば更に待機児童問題の解決につながり、子どもを育てやすい環境が整えば、少子化問題の対策にも繋がるという項循環を生み出していけるという事だ。

[他人のお子さんを預かる責任]

保育士は言うまでもなく複数の他人のお子さんを預かり、面倒を見なければならない義務がある。それは大きな責任とリスクが伴うものだと云えるであろう。

子どもは予想外の行動をとることも少なくなく、どれだけ注意を払ったとしても誤ってケガをしてしまったり、急に体調が悪くなるという事もあるだろう。そのような事が起こってしまった場合に大きな落ち度がなくとも責任を問われたりなど、理不尽な目に遭う可能性も充分に考えられ、それを想像するだけでも保育士という職種に就くことを躊躇する事も少なからずあるのではないだろうか。

理想的にはやはり複数の保育士が子どもたちの面倒をみる体制を整えていくことが必要だ。保育士が安心して仕事を続けていくためには、やはり人手不足の解消が重要であるという事はここでも云えることである。

 

[まとめ]

保育士の人手不足の原因と対策についてここまで考察してみた。最後に簡潔にまとめてみたい。

子どもが好きなどの理由で保育士に興味を持つ方は多く存在すると思われるが、その様な方々が、躊躇なく保育士の仕事に就こうと決断するためには、ひとりだけに負担が掛からないような安心できる環境づくりというものが今後求められるであろうし、人手を充実させたうえで、子どもの保育に集中できる安定した質量の働き方の実現に向けた業界への支援というものが今後はより重要になるであろう。

そして保育機関の充実が少子化などの問題の解決のひとつになれば、社会の好循環にも繋がるのではないかと考えた次第である。