子供の食事介助はとても忍耐と体力が必要になります。
食事の時の様子から好きなもの嫌いなものまで、家と保育園ではまるで様子が違う子供も多いそうです。
そんな食に関する状況を、10年以上保育の現場の中にいたものの目線から見たり感じたことを紹介したいと思います。
好き嫌い
子どもの好き嫌いと言えば昔はピーマン・にんじん・しいたけ・トマトなどが定番でした。今でも嫌いな子供はいますがかなり少なくなってきています。
ピーマンは苦みが少なくなったり、トマトは甘みが強くなったり、にんじんも臭みがなくなったりと、今の物は昔と違い癖がなく食べやすくなっていて、どちらかと言えば子供向きにつくられているような感じがします。
今の子供たちの好き嫌いの理由は以前とはだいぶ変わってきていました。
◎肉・魚
保護者の方に話を聞いているとよく出てくるのが、子供が肉や魚を食べないのでどうしたらいいでしょうかという話です。
以前は、野菜は食べないけれど肉は好きという子供が多かったイメージですが、今では肉・魚が嫌いというよりも、食べられない子供が増えてきています。
ある時、いつまでも口の中に食べ物が入っていてなかなか食べ終わらない子がいました。どうしたのか聞いてみると、食べたものが呑み込めないということでした。
汁物や麦茶をあげて、一緒に流し込んで食べていいよと伝えたのですが、汁だけ飲み込んでしまい食べたものは口の中に残ったまま。
結局最後まで飲み込むことはできなかったので口から出してもらうと、飲み込めなかったものは魚(サバ)でした。
同じように、肉の塊を口から全部出してしまう子もいました。その子の場合、ひき肉よりも細かい大きさに刻んであげると普通に食べることができていました。
お母さんに話を聞くと、塊だと食べが悪いのでほぼペースト状にしてあげていたそうです。(当時ほぼ2歳の子でした)
他にも同じような子が何人もいて、ほとんどの子に共通するのが、食べることはできるが上手に嚙み千切れない・飲み込むタイミングがわからない。そんな子が増えてきていました。
◎白米
白米が嫌いな子も多くいました。
カレーや混ぜご飯のようになっているものは好んで食べていたのですが、白いご飯になると最後まで手を付けず、結局食べ残してしまうという子がほとんどでした。
肉や魚を食べられない子と同じように、「食べることはできるのに」「まだお腹がいっぱいでないのに」残してしまう、その繰り返しでした。
白米の嫌いな子に聞くと、「味がしないから食べたくない」という答えばかりでした。
保護者の方に聞くと、家ではご飯はよく食べるという話でしたが、詳しく聞いてみると、ふりかけをかけたり汁につけたご飯をあげるなど、何かしらの味をつけて食べさせている家庭が多かったです。
興味がない
好き嫌いは、味覚の変化や年を重ねていくうちに、無くなったり変わっていく事もあるので、そこまでの心配はありませんでした。
今一番心配なことが、食そのものに興味がない子が増えてきているということでした。
4歳になるその子は入園当初、ご飯もおかずも汁物もほとんど手を付けていませんでした。食べられないものがあるというわけではなく、食べること自体に関心がありませんでした。
食べることも自分では食べようとせず、先生に食べさせてもらおうとするばかりでした。どうして自分で食べないのかを聞くと、家でも同じように食べさせてもらっているという話。しかも、家でもきちんとした食事はほとんどせず、主に食べていたのはお菓子だったそうです。
それでも特別に痩せているわけでもなく、体力もあり、ほかの普通の子と変わりなく、ほぼ何も食べていない日も、特にお腹がすいたような素振りはありませんでした。
ここまで極端ではありませんが、こういった食べることに興味がない、ご飯の時間が苦痛と思っている子が増えてきているように思います。
食べることの大切さ
物をよく噛んで食べる、上手に飲み込むことができる。こういった行動は、言葉を発するための口の動かし方や舌の使い方の練習ともいわれています。食べることが上手な子は、お話をすることも上手になりやすいのかもしれません。
また、本来子供の味覚は敏感なので、素材の味だけでも十分においしさを味わえているといわれています。
自分たちの食事の他に子供の食事を別に作ることは、疲れて仕事から帰ってきたときには相当な負担だと思います。
離乳食のレトルトもたくさん種類が出ています。いやいや食べて時間がかかるよりも、好きなものを好きなように食べてもらった方が時間もかけずに済みます。
ただ前にも述べたように、食べることは栄養を取ることだけでなく、いろいろな発達に関係している要素が多いです。
ちょっとした機会に今の食事を見直してもいいのかもしれません。
Hii3po4231著