保育園不足、保育士不足が叫ばれる現代、女性保育士だけでなく男性保育士は非常に重宝される存在です。
男性だからこそできる仕事や築ける信頼などが、保育の現場ではたくさんあります。
しかし、男性保育士は女性と比べてもまだまだ圧倒的に人口が少なく、保育士という仕事自体が女性の仕事だという認識が今なお根強いのが現実です。
職場に馴染むことも大変
私の友人Kは子供が大好きで、昔から保育士を目指していました。
もちろん本人も男性保育士は数が少ないことや、偏見が未だ多いことは重々承知でした。
それでも保育士として就職できた時は、そんなネガティブな要素は忘れるほど喜んでいました。
しかし彼はすぐに厳しい現実を突き付けられることになりました。
女性の多い環境の中で、保育士同士でも男性保育士は珍しい存在。
そんな中に一人男性が入って人間関係を築くのはなかなか難しいことです。
今まで男性保育士のいなかった保育園での仕事だったため、対応に困った他の保育士からは一歩距離を置いた対応をされることが多く、それが原因で業務に支障をきたすこともありました。
Kはなんとか積極的に行動し保育士たちの信頼を得たようですが、やはりいつまでも取り除けない壁のようなものを感じていたそうです。
偏見も多い
普段から真面目に働き、保育士たちから信頼を得るようになっても、すべての人の信頼を得るのは難しいです。
保護者の間では、男性保育士ってどうなの?と、存在自体を疑問視する声もちらほらあったそうです。
「うちの子に変ないたずらしてないでしょうね!?」
ある女の子の保護者から、そんな言いがかりをつけられたこともありました。
その当時、ある男性保育士が女の子にいたずらをして逮捕されたというニュースが話題になり、まったく関係のないKのような男性保育士が槍玉に挙げられる事例が全国各地でありました。
「男性保育士は信用ならない!」
咄嗟に出た保護者のその言葉。
今まで普通に接してきて上手くいっていたつもりでしたが、普段口に出さないだけで内心ではそう思っていたのかとKはショックを受けました。
この保護者だけでなく、本心では男性保育士の存在を不安視している保護者の数は少なくないと思います。
実際にKのことについて、園長に質問する保護者は何人もいたそうです。
どれだけK自身が誠意をもって努力したところで、元からそのような考えを持った人の考えを覆すことはできません。
園長の進言もあり、そのような考えの保護者を持つ子どもの世話からは極力外されることになりました。
悲しいことではありますが、K自身の名誉と信頼を守るため仕事が制限されることは仕方のないことだと、Kも納得したそうです。
いいこともある!
男性保育士はいろいろと大変なことも多いですが、もちろんいいこともあります。
一つは男性保護者からの信頼をもらいやすいこと。
今は男女ともに育児に参加するのが当たり前になっているとはいえ、やはり割合自体は女性が多いのは仕方ないのかもしれません。
そんな中、ママ友同士で集まることはあってもパパ同士で集まれることは少ないです。
そこで孤独なパパたちのよき理解者になってくれるのが男性保育士です。
やはり異性よりも同性のほうが話しやすい面もあり、パパならではの育児の悩みや相談を受けることが多いようです。
育児に悩むのはパパもママも同じです。
相談相手の少なくなりがちなパパたちにとって、相談しやすい男性保育士はありがたい存在。
相談に乗り安心してもらえた時、必要とされているとゆう実感につながります。
二つ目は子供たちの遊び相手で活躍できること。
小さい子ばかりとはいえ、何人もの園児を預かり同時に見るのはとても大変な仕事です。
そんな中で力のある男性保育士は、元気な子どもたちの相手をするのにとても重宝されます。
子どもたちもお父さんやお兄さんと接するように、元気よく体を動かして遊びます。
バラエティに富んだ遊びを通してコミュニケーションをとることによって、保育園だけでなく家庭内のコミュニケーションにも大いに役にたちます。
数は少ない、でも貴重な存在
男性保育士の仕事は決して楽ではありません。
小さな子どもを預かるという責任感はもちろん、最近増えてきたとはいえ、まだまだ数の少ない男性保育士に対して不安視する声や偏見などにも立ち向かわなければならず、強い意志が必要になることもあるでしょう。
しかし、子どもを思う気持ちに性別の差はなく、大変な中でも活躍している男性保育士はたくさん存在しています。
一部の悪い噂やニュースだけで、すべてが悪だと判断するのは間違っています。
保育士不足な現代で、保育士になりたい!と思う人たちの芽を摘んでしまわないようにしていかなくてはなりません。
kitsuneko22著