年間を通じて保育園でも様々な行事があります。
ただ最近では、子供たちも小さいうちから色々な情報を知ることが出来、冷めている部分もあります。
また、園や行政の意向によって、やらない・出来ないものも増えてきています。
先生たちも工夫をしながら、楽しめるものを作ろうとしています。
クリスマス
クリスマスは子どもたちが楽しみにしている行事の一つです。
ただ、一番規制がかかったり、工夫が必要な行事でもあります。
以前あるところの行政では、「クリスマスの行事は行わないでください」、という決まりがありました。
今はグローバルな社会になったため、各園に多くの国籍の人が通っているので、宗教色があるような行事は避けてくださいというのが行政側の理由でした。
園の装飾や子供たちの制作物も、クリスマス色の強いものは控えてくださいということでしたので、クリスマスツリーやリースといったものは飾れませんでした。
そこで先生たちが、サンタクロースが登場しないでも、雰囲気を楽しめる内容を幾つか考えてくれました。
忙しいサンタさん
子どもたちがクリスマスの気分を持てるように、まず歌と演奏の練習をしました。
月齢の低い子は歌を、月齢の高い子はハンドベルを使って合奏を行いました。
クリスマス当日はお互いに練習したものを見せ合っておしまいだよ、と子どもたちに伝えてありました。
当日、歌と演奏が終わると突然トナカイに扮した先生が現れます。
トナカイは、忙しいサンタさんと手分けしてプレゼントを配っている途中だったそうです。
保育園の近くを通りかかったとき、楽しそうな歌声や演奏が聞こえてきたので、つい寄り道してしまったと教えてくれました。
トナカイは、もう一度歌と演奏を聞かせて欲しいと頼みました。
子どもたちが再び演奏をすると、トナカイはお礼を言ってプレゼントをおいて帰っていきました。
サンタクロースを出さないでも、何とかクリスマスの雰囲気を子供たちに味わってもらえるような企画でした。
子どもたちはクリスマスの雰囲気よりも玩具の方に夢中でした。
ケーキのプレゼント
別の年のクリスマスでは全員でおおきなケーキをつくりました。
段ボールで作ったケーキの土台に、子どもたちがそれぞれ作ったトッピング(フルーツ)を貼って、オリジナルケーキを作りました。
ケーキを部屋に飾っておいて、子どもたちは別部屋におやつを食べに行きました。
おやつは、先ほどみんなで作ったフルーツケーキ。
おやつを食べ終えて部屋に戻ると、ケーキのあった場所に白い布を被ったものが置いてありました。
布の下には玩具と手紙が置いてありました。
手紙はサンタさんからで、おいしいケーキのお礼にプレゼントを置いていきます、と書いてありました。
子どもたちは、いつサンタが来たのかを不思議がっていました。
偽物サンタ?
これはクリスマスを禁止されていた園での話ではありません。
最近ではサンタを信じていない子供たちも多くなってきているので、少しでも夢を持たせようと先生たちが考えた企画です。
歌や踊りでクリスマス会をやっているときに鈴の音が聞こえてきます。
すると、隣の部屋にサンタの服を着た人がいます。
みんなで移動すると、そこにいたのはサンタの衣装を着た先生でした。
先生はひげなどで顔を隠すこともなく、すぐに子供たちにばれてしまっています。
先生はプレゼントを持っていなかったので、子どもたちから、何でプレゼントがないのかと問い詰められています。
その時先生が、「向こうの部屋の誰かいるみたいだよ」と指をさしました。
子どもたちがそちらを見ると、隣の部屋の非常口に出る扉の曇りガラスに人影が見えました。
その人影は、サンタさんと同じような赤と白の服を着ているように見えました。
子どもたちは急いで戻ります。
でも、子どもたちが部屋に戻って扉を開けたときはもう誰もいませんでした。
そこにはプレゼントの入った大きな袋が置いてありました。
その後子供たちは、「今の誰だったんだろう」「○○先生じゃない」「でも○○先生あっちにいたよ」と、今あった出来事を不思議そうに話していました。
社会の多様化と子どもたち
他にも同じような理由で、ハロウィンも行事として行えないところもあります。
また宗教的な所でいえば、給食に関しても、食べてはいけないものがある家庭も増えてきています。
父の日・母の日に関した制作なども、家庭環境を考慮して作るようになっています。
多様化していく社会の中で、今までと違う価値観を持たなければいけないかもしれませんが、子どもたちにとってはその時にしかできない経験でもあります。
保護者も行政ももう少し広い心で見てもらってもいいのではと思います。
Hii3po4231著